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ダイラボッチ

 

 

 かし、ダイラボッチという、一人のとてつもなく大きな男が住んでいました。

 

 ダイラボッチは、山のように背が高く、その頭は雲の上に突き出てしまうほどもあったそうです。それに、力といったら100人力、いや1000人力くらいあったのかな。

 

 だって、見上げるほどの大きな岩でも親指と人差し指でつまみあげ、ガラガラガラッと砕いてしまったというから、ものすごい力持ちだったに違いありません。

 

 そんなダイラボッチも、負けん気は強かったが、根はとてもやさしく、少しおっちょこちょいで、人にめいわくをかけることは決してありませんでした。ダイラボッチは、昼間は山の中でゆったりと体を休めては、夜になると働きだすというめずらしい大男でありました。こんな大男が、遠州や駿河の国をまたにかけ、のっしのっしと移動していたのです。

 

 ある時、千頭あたりにやってきたダイラボッチは、夕日に映える紅葉を眺めながら(ああ、きれいだなあ。すばらしい。)と、ひとりごとを言いながら見とれていました。どちらを見ても紅葉の美しさにすいこまれるようなひとときでありました。

 

 (これが富士山のように高くて美しい山だったらなあ。)

 

ダイラボッチは、紅葉の美しさと富士山の美しさとを頭にえがきながら、

 (よぅしっ、じゃあここに富士山のような高い山をひと晩で作るとしよう。

とつぶやきました。

 

 ダイラボッチは大急ぎで山からツタやカズラのつるを取ってきて、土を運ぶ大きな大きなもっこを作りました。

「やっとできたぞ、さあ、ひと仕事するか。」と言って、ダイラボッチは、どこへやら、もっこをかついで、のっしのっしと出かけて行きました。

 

 しばらくして、小山のように土をもっこにいっぱい乗せて、郷平(今の千頭)まで来ました。すると夜明けが近いとみえ、どこからともなく娘たちの歌声が聞こえてきたのです。ダイラボッチは、あれぇ、もう夜が明けたのか、こりゃあたいへんだ。とおどろいて、土を乗せたもっこを投げ出して、いちもくさんにどこへやら逃げて行きました。

 そのもっこの土が、郷平の村の中に、丘となって二つ残っています。

 

その丘が、これ!!!!!

千頭の治山センターの近くで、この丘を見ることができます♪

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